この木の名前を知っていますか?
竹ですね。竹は1日で1メートル近く伸びることもあります。それほどの成長をしながらまっすぐしなやかに強く伸びることができるのは、この「節目」があるからです。
今日で1学期が終わります。終業式は竹の節目、新しい自分を伸ばすための大事な節目の1つです。
そこで、明日からの夏休みに向けて「自分を鍛える」とは、どんなことかという話をします。
戦国時代の大名で、徳川家康という人がいました。徳川家康のことを知っている人はいますか?家康は幼いころ、竹千代と名乗り、駿河の国(現在の静岡県)の大名である今川義元に人質としてとらわれていました。徳川家康
今川 義元
義元は、家康の行動を見て、「この竹千代は、普通の子どもでない。末恐ろしいやつだ」と才能を見抜いていました。家康のまっすぐな成長を恐れた義元は、家来に「家康にはむごい教育をしろ」と命令しました。そこで、命令通りに家来は「むごい教育」をしました。その「むごい教育」のおかげで家康は1日が終わると立てないほどクタクタに疲れ果ててしまいました。
しばらくして義元から「むごい教育はどうなっている」と聞かれ、家来は「殿様、竹千代のため、毎朝、早く起こし、質素で粗末な食べ物を与えました。それと1日中読み書き、剣術、武術、馬術とクタクタになるまでしごきました。」と、自慢げに報告しました。
すると、義元はものすごい勢いで怒りました。「馬鹿者。それはむごい教育ではない。」
さて、今川義元がさせたかった「むごい教育とは、どんな内容のものだったのでしょう。義元が、そのようにすればたいていの人間がダメになる内容とは?
それでは正解を言います。
「竹千代に、毎日甘やかせた教育をすることだ。」
「朝は好きなだけゆっくり寝かせ、暑いときには涼しく、冬は寒くないようにしてやれ、毎日ゴロゴロさせ、食べたいときに好きなだけなんでもうまいものを食べさせよ。そして、1日遊ばせて、好き勝手にさせよ。そうすれば、大人になったら何もできないダメ人間になる。」
しかし、家康はその後もむごい教育は受け入れず、真逆の自分を鍛えるため、質素な生活をしました。そのおかげで、大人になった徳川家康は、全国のすべての大名を従え、江戸幕府を開くことになります。
さて、明日から夏休みです。皆さんは、今川義元の「むごい生活」をしますか?人間は甘やかされれば、されるほど、ダメな人間になるということです。楽ばかりしていては成長しません。将来、立派な大人になるため、我慢するときは我慢する、友達に左右されない、誘惑に負けないで自分に厳しくすることが、「自分を鍛える」ということにつながります。
ぜひ、この夏休みは、ここに記載した例を参考に自分を鍛えてください。
計画的に勉強をし、地域の行事にも積極的に参加してください。おうちのお手伝いをしたり、長い休みでないとできない様々なことにチャレンジしたりしてみてください。
8月20日(金)の2学期の始業式には、みんなそろって元気な顔を見せてください。そして、夏休み中にそれぞれ「自分を鍛えた」皆さんの姿を見ることを楽しみにしています。
以上で、終業式の話を終わります。